有頂天晴果のこと

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2014年12月20日土曜日

八百屋を始めた理由 その2「高原野菜」

0代中盤くらいまで、野菜に対して、特別な興味はありませんでした。
ほうれん草と小松菜の区別すらついていなかったレベルです。
嫌いなものはありませんでしたが、特に好きでもなく。
幼少期から十年以上暮らした地元で、淀大根という特産品を作っていましたが、
へー、こんなところで大根作ってるんだ程度の感想しか持っていませんでした。


そんな自分ですが、野菜との関わりのルーツをたどると、かつて、
10代の終わりに3ヶ月ほど、長野県の高原レタスの収穫バイトをしていました。
毎朝2時、3時から正午まで延々とレタスを収穫・出荷。
お昼から夕方までは他の野菜の収穫や苗植え、畑準備など。





本でも有数の、非常に大規模な形での農業を展開しており、
年収数千万円とも言われたこの村。
冬期は積雪で農業できないそうで、お休み。
つまり、4月から10月までの期間にそれだけ稼ぐということですから、
一日あたりどれだけの数のレタスを収穫するか…
想像してもらえればその膨大さが分かってもらえると思います。

菜の値段は毎日変動しますが、
たとえば、出荷農協がレタス一箱4000円買取の値段をつけているときには、
300箱出荷した日もありました。

「俺たちの給料、このレタス2ケース分だな」
なんてバイト仲間と笑いあったことも。

逆に、取引価格が安いときに出荷すると赤字になるので、
そうした日は村のどこの農家も出し渋っていました。
そういうときは前の日の晩に、農家の社長が「明日は休みだ」と言いに来ます。
土日関係なく仕事だったので、それが月に一、二度くらいの貴重な休日です。

休日はないものの、日々の労働条件はちゃんとしてました。
住み込み・三食昼寝、昼1時間休憩、
朝2回午後1回、それぞれ15分のおやつ休憩つき。
日当7000円、残業代は別途つきます。
ちゃんとしてるので、食費と休憩時間は給料からしっかり引かれます。

綺麗な空気の中で早寝早起き肉体労働!
腰痛と手荒れ以外は、風邪ひとつ引かず、すこぶる健康でした!



渡す限り、数キロ先までずっとレタス畑。
隣の農家の畑もレタスだから、本当にどこまでもレタス。
そんな環境にいた割に、収穫したものを食べることもなく、
特に野菜に興味を持つこともありませんでした。

ただ、未だに、レタスを切ってあの独特の香りを嗅ぐと、
青い空と八ヶ岳の麓に広がるレタスの海をまざまざと思い出します。

(アルバイトが終わって京都に帰ってからしばらく、
 ゾウの肌みたいにでこぼこになった手と、
 腰がまっすぐに伸びなかったことも、まざまざと思い出します)

農作業の大変さの、ごく一部分とは言え味わえたと言うことで、
今思うと、貴重な体験をさせてもらいました。

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